※幸楽美国編 裏話ネタバレ※
人には取り戻したい過去と変えたい未来があると思っています。藤は取り戻したい人がいて、白琵には永遠にそばにいたいと願う未来があって。
でも一度壊れた物は取り戻せないし、再構築したところで、果たしてそれは本当に同じ存在なのか?所謂、あの冬楽はテセウスの船的存在でした。それを問われた藤は、『冬楽』である事を望んでいました。否、望むしかなかったのです。
「謝りたかった」のは藤の本音。しかし、本当に伝えたかったのは、とても簡単で難しい言葉。蓮華と親しかった冬楽。幼馴染の二人は結ばれるべき存在。心優しい藤は蓮華に遠慮して吐けなかったその言葉を口にしては、また冬楽を縛り付けてしまうと分かっていたから、愚かな言葉を口にする前に首を掻き切りました。これ以上縛りつけてはならない。最期の想いは、己の解放と冬楽への想いを捨てる事で、蝕む怪奇からも、白琵からも自由になれた。三年間じわじわと侵された心は、漸く解放された。
紛い物の冬楽を操っている白琵に対して憎しみを抱いていたか、知る事は出来ません。しかし、恩を抱いていたのも、感謝していたのも事実です。
同じく、白琵の願った『永遠の魂』まぁ、永遠なんてこの世にはありません。でも幼い白琵はそんな事知りませんし、大事な人とずっと一緒に生きれるなら、それを望みました。白琵にとっては従兄弟よりも周郗の方が身近でしたから。愛を知ったのも、周郗がいたから。怪奇にとっては丁度いい存在でしたが。
一方、周郗は馬鹿げた物語だと笑い、肝心な所を見逃してしまった。仕人として未熟だった周郗には古書に閉じ込められた六つ目の怪奇を同じ様には察知できません。周郗は長としての仕事を優先し、側では一心不乱に机に向かう白琵。二人は最高の知己となった。めでたしめでたし……とはいかないのが怪奇の存在。歪んでいたのはどこからだったのか。白琵の大事な部分に寄り添って話を聞いて、ちゃんと向き合えば変わっていた未来でした。作中にもある通り、周郗には『義務』として国民を護る事に対しての執着心があります。仕人の修行を齧ったのもそれが理由。誰に学んだかは、秘密です。しかし、六つ目の怪奇に襲われて失った仕人の力は、初めから無かった方が良かったのかもしれません。
怪奇の領域で古書に匕首を突き刺し、全ての始まりが周郗と白琵だと知った林琳。本人達は全て忘れ、道を違って進んでいく。在るべき道だと疑いもせず、嫌な程真っ直ぐに。忘れてしまうまた方が自由になれる現実を目の当たりにしてしまいました。憎悪を捨てれる程、林琳は大人にはなりきれていません。ある意味藤と同じで、林琳も過去に囚われたまま。そんな林琳を仁は『忘れたがり』だと思っています。
白琵と周郗は確かに知己で、藤と冬楽も確かに友だった。
何が悪か正義か、正しいのかなんてわかりません。国が怪奇に侵され、白琵や藤が縋った先が怪奇だとしても、彼らにとっては神と同じでした。国民が張家に縋るのと同等に、彼等も救われたかった。
最後に林琳が残した言葉は、周郗にとって大事な約束となります。林琳は決して約束を破らないので。守れない約束もしません。
まぁ大事な匕首をへし折りましたけど(不可抗力)持ち主には戻ったので…。
※コメントは最大3000文字、5回まで送信できます