【沈星演舞祭編】
これはかなり前から書きたかった話。
時を止めていた林琳と、時を進めていた片燕の子供たち。
慣れない手つきで剣を握っていた姿や、覚束ない心力も、そこにはない。空白の五年間を彼らはきちんと歩んでいた現実を林琳は目の当たりにするわけです。突きつけられるんですよね、現実を。
勿論、それなりに覚悟はしていたと思います。彼も彼なりに前に進もうとしているので。
でもまぁ、そこに宗主がいるとなれば話は変わってきます。
二人は喧嘩別れ(破門)までいっているので……そりゃ、林琳からすれば足が竦む。自分を拾って、弟子にして、仕人にまで育て上げたのに、ぶっさして殺しかけたんですから。(普通にやりすぎや、お前)
居心地の悪さ以上に、林琳からすれば「あわせる顔がない」に近いのかも。
いや、今後のことも考えて挨拶の一つや二つしろよ、ってのが朱禍の意見。ごもっとも。はい。朱禍、林琳に対して文句言いだしたら止まらないよ。そのくせ、新しい剣をポンって渡しちゃうんだから……お前……。
まぁ、そんな所が朱禍らしいっていうか……。獅宇の影響をかなり受けてるな、って……。
仁に持たせた鏡を通して過去の出来事を整理するうちに、林琳も一人の人間を思い出していきます。
幼少期……傭兵だった頃(戦場をたらい回しにされていたので、どこかの軍の捕虜……というよりかは、傭兵は基本的に戦勝国についていく感じ)
その時に出会ったのが玥。ひっそりと暮らしていた医者です。けがでボロボロの彼を治療して匿いました。
さらにそこから戦場を渡り歩いて、獅宇に出会います。(ここはまたいずれかの章で)
なんだかんだで玥は林琳の面倒をよくみてくれたのかな、と思います。
だからこそ林琳も彼女のことを忘れることはなかったのかな。
そんな祭りの中で巻き起こる、傀儡の暴走。心臓部に埋め込まれた不気味な欠片。ぐちゃぐちゃな術式。
……怪奇大好きっ子の出番ですね。
【月深編】
水面下で頑張っていたのに、案の定、師匠に表舞台へあげられてしまう林琳。しゃーない。いつまでも現実から逃げてはいられないんだよ……。
蒼羽の珊來にも矢印向けられてるし……人の執着心ってすごいのよ、林琳。頑張れ。
そもそも術式ってなんぞや?
→仕人が陣や結界を発動させるときに使われるもの。
解読ってなんぞや?
→元からある陣や結界、護符にかけられた術を読み解くこと。
ま、それが彼は最も得意なわけです。御守りや転送陣が下手くそでも、どうにかなってきた理由ですね。
頭はいいんです。使う気がないだけで。
だからこそ、見落としていたことがある。
仁にとって彼の心力は諸刃の剣だったということ。幼いころから一緒だったのに、何を今更って感じだろうけど。
攻撃性の高い心力を己のものを混ぜ合わせれば……拒絶反応が起きるに決まっている。それを今まで見逃していた林琳。
傷付いた魂の修復が追い付いていない理由が己の心力だと知ってしまったからには、これ以上、お互いの心力に接触してはいけない。
世界はそう簡単に……罪人を許してはくれないものでして。
師弟が眠りにつく中、ついに林琳と獅宇は対峙する。
林琳の口から明かされるのは、あの日の選択のこと。どうしてあんな選択をしたのか。してしまったのか。ずっと誰にも明かさなかった、心の痛み。この世の生き辛さ。
目の前で膝をつき、頭を下げる彼の心は昔からずっと脆かったことを獅宇は知っている。知っていたのに、朱禍に警告されていたのにーー遅かった。
そして宗主、獅宇の口から明かされる仁の話。
「お前の後を追おうと自ら命を絶とうとした」
魂の損傷はその時に負ったものだろうと、宗主は告げる。
林琳から見た仁は、そんな馬鹿なことをする人間ではなかった。
いや、それ以前になぜあの領域のことを師弟が知っているのかーー。
今更そんな矛盾に気付くが、遅い。
と……伏線をちまちま回収しつつ、片燕の宗主、獅宇と一番弟子の林琳の蟠りに目を向けた章でした。
ここから再び林琳の旅が始まります。
アニメで言うところの二期って感じです。
【林琳の過去】
ずば抜けた戦闘力で戦場をたらい回しにされる(傭兵期間)→世界を回るうちに、ろくでもない世界に絶望して、全てがどうでもよくなる→(怪奇というヒトではない存在だけが林琳にとっては正常なモノだった。人間よりも遥かに綺麗だった)→宗主に拾われる→仁を拾う→片燕が設立される→穏やかな日々を過ごす→平穏を受け入れつつも、着実と呪いの準備を始める→朱禍がその異変に気付き、揉める→お互いに重症を負う→私利私欲で人を殺して、塔の先を見ようとする(身勝手)→失敗に終わる(宗主が寸前のところで止める)→宗主と殺し合いになる→誓いを結ぶ→破門→竹林の領域に飛び込む
今まで濁してきた過去ですが……ざっくり表すとこんな感じ。
やっと林琳の過去を明確に記せるようになって良かった。(スッキリ)
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